空を見上げる七夕

ささの葉 さらさら、のきばにゆれる――

七夕が近づくと、願いごとを書いた短冊や紙細工などが飾られた笹をあちこちで見かけるようになります。

そう、七夕ですね。

福山市の七夕

福山本通商店街と福山本通船町商店街では、毎年7月7日前後に七夕まつりが開かれます。

2023年は「福山とおり町七夕まつりー 願いをとどける天の傘ー」ということで、短冊ではなく、たくさんのカラフルな傘が商店街の上に飾られました。

近畿大学工学部とのコラボ企画で、ポルトガルの「アンブレラスカイ」という祭りからヒントを得たものだそうです。

これらの傘は、もともと廃棄される予定だった持ち主のないビニール傘に子どもたちが絵を描いたり色を付けたりしたもの。

イベントの後は再び傘として再利用されるということで、環境にも優しい、良いアイディアですね。

会場の様子は中国新聞社のYouTubeで見ることができます。

空中で傘が揺れる様子は幻想的な美しさ。

伝統的な七夕行事とは少し違いますが、時代に合ったすてきな取り組みだったと思います。

七夕いろいろ

七夕の起源は、中国の伝説だと言われています。

『神様の衣を織る仕事をしていた織姫と、天の牛を飼う仕事をしていた牽牛が神様に引き合わされて結ばれた。

しかし二人は、愛し合うあまり遊びほうけて働かなくなってしまった。

怒った神様は二人を天の川の両岸に引き離した。

しかし、二人があまりに悲しむので不憫に思い、真面目に働くことを条件に、年に一度だけ天の川を渡って会うことを許した』

というお話です。

天の川を隔てて離ればなれにされた織姫と牽牛が、年に一度だけ会える日が7月7日、つまり七夕なのですね。

このロマンチックなストーリーはアジアのさまざまな地域に広がっていきました。

中国国内だけでも、地域によって七夕の風習にはたくさんのバリエーションがあるそうです。

また、韓国、日本、台湾、ベトナムなどでもそれぞれに七夕の行事があります。

たとえば、七夕に笹を用いるのは日本だけの特徴です。

日本の七夕はもともと国内にあった農業神事などとも結びついて発展したため、神事で使っていた笹がそのまま七夕にも使われるようになったと考えられています。

さらに、近年は伝統的な行事だけではなく、観光や地域振興の七夕まつりも数多く開催されていますね。

日本三大七夕と言われているのは、仙台七夕まつり(宮城県仙台市)、一宮七夕まつり(愛知県一宮市)、湘南ひらつか七夕まつり(神奈川県平塚市)です。

本当の七夕はいつ?

「七夕はいつ?」と聞かれたら、ほとんどの人は7月7日と答えるでしょう。

もちろん正解です。

しかし、先に挙げた仙台の七夕まつりは8月。

全国各地の七夕まつりの日程を見ても、8月7日前後に開催されるものがかなりあります。

これは、新暦と旧暦の違いによるものです。

お盆が7月か8月か、というのと同じ事情ですね。

新暦の7月7日はまだ梅雨の時期なので福山の七夕もよく雨に降られていますが、旧暦の7月7日は新暦の8月にあたりますので、織姫と彦星が雨で会えないという可能性は低そうです。

さらに国立天文台では「伝統的七夕」として、正確な旧暦7月7日を毎年報じています。

2011年から2030年の20年間で、もっとも早い伝統的七夕は8月2日(2014年)、もっとも遅いのは8月29日(2025年)。今年2023年の場合は8月22日です。

年によって、ずいぶん開きがありますね。

国立天文台は毎年8月1日から7日を「スター・ウィーク~星空に親しむ週間~」と定めていますが、この期間に伝統的七夕を迎えることもそれほど多くはありません。

7月7日、8月7日、または旧暦に忠実な伝統的七夕。

それぞれ楽しめたらいいですね。

笹飾りも風情がありますが、織姫と牽牛(彦星)に思いをはせながら、夏の夜空を眺めてみるのもまた良さそうです。

織姫星(ベガ)、彦星(アルタイル)を見つけられるかもしれません。

国立天文台 

「質問3-10)伝統的七夕について教えて」

https://www.nao.ac.jp/faq/a0310.html

「スター・ウィーク、伝統的七夕(2023年8月)」

https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2023/08-topics01.html