コロナ禍による行動制限はなくなりましたが、今度は円安で、海外旅行には行きづらくなってしまいました。
ハワイでは朝食二人分で万円ということも珍しくないそうです。
逆に海外から見れば、日本は非常に魅力的な旅行先になっているということでもあります。
新型コロナが5類に移行した後は、観光地がにぎわいを取り戻し、外国人観光客も増えましたね。
インバウンドとオーバーツーリズム
外国からの旅行客やビジネスでの訪問者のことをインバウンドと言います。
資源が少なく、少子化が進む日本にとって、インバウンドによる消費は経済の大きな支えになるものです。
2007年には観光立国推進基本法が施行され、さまざまな施策が行われてきました。
コロナ禍の前には民泊がブームになったりもしましたね。
観光客はホテル、レストラン、観光名所、交通機関などでお金を使うため、インバウンドの増加は地域にさまざまな収益をもたらします。
観光関連事業を中心に雇用が生まれ、他の業種にも波及していきます。
また、人が増えて地域が活性化すると、インフラの改善にもつながっていきます。
このような好循環をめざして、日本の各地ではインバウンドの獲得に力を注いでいるのです。
しかし一方で、観光客が増えすぎると困った問題も起きてきます。
インバウンドに限ったことではありませんが、外部からの流入者が急激に増加すると、過度に混雑したり、環境が悪化したりといったトラブルが発生しがちです。
また、混雑によって本来の観光ができなかったり待ち時間が長すぎたりすると、観光地の魅力は半減してしまいます。
これがオーバーツーリズムです。
京都や鎌倉などの人気観光スポットに住んでいる人からは、普段の生活にも支障が出ているという悩みがしばしば聞かれます。
宮島での取り組み
オーバーツーリズムは、観光業の成長と持続可能性のバランスを取る難しい課題です。
地域や都市は、観光戦略を適切に調整し、持続可能な観光を促進するために規制や制約をもうけるなどの試行錯誤を続けています。
広島県の宮島(廿日市市)では、2023年10月1日より「宮島訪問税」が導入されました。
1回の訪問につき100円ですから、観光客にとってはそれほど大きな負担とはならないでしょう。
この税は、訪問者の受入環境の整備、文化や歴史への理解を促進、自然環境に負荷の少ない観光などのために使われるということです。全国の観光地のお手本となるような効果が期待されています。
廿日市市 宮島を観光(訪問)される皆さまへ
https://www.city.hatsukaichi.hiroshima.jp/soshiki/110/98479.html
地元でも旅気分を
インバウンドに負けず、私たちも旅行や観光を楽しみたいですね。
オーバーツーリズムの心配をしなくてもよいような穴場も、全国各地にはまだまだたくさんあります。
秋は食べ物もおいしいですし、紅葉も楽しみです。
公共交通機関だけではたどりつくのが大変という名所もあります。
自分で運転するのはちょっと、という方はバスツアーを探してみるのも良いかもしれません。
小規模なツアーは小回りがきくためか、さまざまな地域発着のプランが販売されています。
趣向を凝らしたものや、中には行き先が伏せられたミステリーツアーといったものも。
日帰りで気軽に参加できて、料金も手頃なことが多いようです。
こうしたツアーではたいてい食事やおみやげがセットになっていて、さらにお買い物に立ち寄るケースが多いものです。
散財には注意ですが、地域の特産物に出会えるきっかけになることもあります。
「聖地」を巡る旅
アニメやマンガ、映画、小説などに登場する場所やドラマのロケ地などをファンが訪ねることを、近年では聖地巡礼と呼んだりします。
オタク文化から始まったとされますが、作品をきっかけにリアルな経験が広がっていくのはおもしろい現象ですね。
それまで注目されなかった場所が作品のヒットによって聖地となることもあり、自治体がそれを後押しして町おこしに活用している例も多数あります。
有名作品の聖地となると、日本国内だけでなく、世界中から人が集まってくる場合もあるそうです。
日本のマンガやアニメは世界に輸出されているので、作品を通して日本に興味を持ち、実際に訪日する人も少なくありません。
大ヒット中の映画「ミステリと言う勿れ」の舞台は広島です。
地元の方なら、映画の中に馴染みのある景色を見つけられることでしょう。
他の地域の皆様には、ぜひ広島のさまざまな「聖地」に来ていただきたいと思います。
ひろしま公式観光サイトDive!Hiroshimaには、この映画のロケ地の紹介もありますよ。
Dive!Hiroshima 「ミステリと言う勿れ」特設サイト