青葉が美しい季節になりました。
森林はもちろん、公園や街路、庭先などでも木々は私たちの生活に潤いを与えてくれます。
木陰を作り、花を咲かせ、鳥や虫たちの居場所にもなる樹木は、人間の暮らしだけでなく、生態系を支えてくれる大切な存在でもあります。
樹木はどれくらい生きる?
古木や巨木は世界中に数多く存在し、なかには樹齢1000年を超えるものもあります。
100年ほどしか生きられない人間から見ると、永遠の命のように感じてしまいますね。
しかし、すべての木が長寿というわけではありません。
寿命の短い木として知られるタラノキは、なんと5年から10年ほどで幹が枯れてしまいます。
その分、タラノキはたくさんの実をつけて子孫を増やすのだそうです。
また、日本人に親しまれている桜では、ソメイヨシノが60年程度なのに対し、野生のヤマザクラやオオシマザクラ、エドヒガンでは100年以上生きるものもめずらしくありません。
ソメイヨシノは成長が早く、一斉に花を咲かせる美しい品種ですが、クローンであるためか病気に弱く、寿命は比較的短くなってしまうようです。
寿命の長さは木の種類や品種だけでなく、生育環境によっても大きく変わります。
同じソメイヨシノでも、人通りの多いところに植えられた木は根本を踏まれるダメージにより寿命が短くなる傾向にありますし、広々とした土地で十分に管理されている木は80年、100年と生き続ける場合もあります。
また、自然の中の木々は自分で動くことができませんから、どこに種が落ちて芽生えるかは運次第。
適した土地に根付いたか、天候や他の動植物の影響を受けるかなどによってもその運命は左右されるのです。
土壌の状態、水分、日当たり、病害虫の有無など、さまざまな条件が樹木の健康に影響を与えているのです。
都市部で増える倒木
近年、都市部では倒木のニュースを耳にする機会が増えました。
公園の木や街路樹の枝が落下したり、幹ごと倒れたりする事故もたびたび起きています。
私たちは台風や強風の日には倒木を警戒しますが、普段の生活の中では「木が突然倒れる」という事態をあまり想定していません。
しかし、弱ってしまった樹木は、強い風がなくても倒れることがあります。
人間と同じように、樹木も病気になりますし、年を重ねれば弱っていきます。
幹の内部が腐朽したり、根が弱ったり、病気や害虫の被害を受けたりすることで、倒木の危険性が高まります。
また、戦後の都市整備とともに植えられた街路樹の多くが、現在は高齢化の時期を迎えています。
道路や橋などのインフラ老朽化が問題視されていますが、実は街路樹も同じように「更新の時代」に入っているのです。
国土交通省では、公園樹木の安全管理について情報を公開しています。
また、各自治体でも、公共の木々の点検を強化する動きが広がってきました。
変わっていく街路樹
そんななかで、老木の伐採や植え替えも各地で進められています。
その際、以前とは異なる樹種が選ばれることも増えています。
かつては定番だったケヤキやイチョウは、最近は減少傾向にあります。
堂々たる姿や、夏場の木陰は好ましいものですが、大きくなりすぎて電線に干渉したり、道路の隆起を起こしたり、といった問題が起きているためです。
変わって増えているのは大きくなりすぎないハナミズキやトウカエデ、ヤマボウシなどです。
これらは、気候変動による猛暑や豪雨への耐性もあり、維持管理がしやすいとされています。
樹木選びにも、現代の環境に合わせた検討が必要なのですね。
樹木は、植えれば終わりではありません。
美しい緑を未来へ残していくためには、古木を守ることだけでなく、適切な管理や世代交代も必要になります。
普段なにげなく見上げている街路樹や公園の木々も、それぞれに長い時間を生きています。
緑が鮮やかな初夏、身近な木々に少し目を向けてみると、いつもの景色が少し違って見えるかもしれません。
