寒さが厳しくなってきました。今年はインフルエンザの流行も早いようですが、予防接種、手洗いうがいなどで、なんとかしのぎたいものです。
さて、寒い時期に体調を崩してしまう原因の一つに気温差、寒暖差があります。
これってアレルギー?
寒い屋外から室内に入った時や、暖かい部屋を出て冷たい外気に触れた時に、いきなりハックション!とくしゃみが出ることがあります。鼻水や咳なども、あまり気持ちの良いものではありませんね。
まるでアレルギーのような症状なので、寒暖差アレルギーと呼ばれたりもしますが、これは温度差が刺激となって引き起こされる鼻炎の一種で、一般的なアレルギーとは異なるものです。アレルゲン(アレルギーの原因物質)によらない鼻炎=非アレルギー性鼻炎に分類されるそうです。
また、鼻炎だけでなく、人によっては身体がだるくなったりすることもあり、風邪と間違えられたりもします。ちょっとややこしいので、正確な診断は医師にご相談くださいね。
もっと重篤な不調も
気温差による鼻炎は、体が周囲の気温に慣れてくると落ち着くことも多いですが、もっと心配な事態が起こる場合もあります。急に気温が下がると血管が収縮するため、高血圧の方は特に注意が必要です。
脳卒中や心臓発作の発生数には、季節による差はそれほどないようですが、特に高齢者では冬の脳梗塞は重症例が多いという調査もあります。
国立循環器病研究センター「脳梗塞は冬の病気? 夏の病気?」
http://www.ncvc.go.jp/pr/release/20180425_press.html/
ヒートショックにご注意
このような、温度差や低温によって起こる血圧の急激な変動、それに伴って起こる心筋梗塞や脳卒中などの体調不良を総称してヒートショックと言います。
意外と見落としがちなのが、家の中での気温差です。リビングルームはエアコンで暖かく保っていても、廊下や洗面所、トイレは冷えきっているというお宅も多いのではないでしょうか。また、暖かい空気は部屋の上の方に集まるため、暖房のある室内でも足もとは寒いというケースも。体に良いとされる「頭寒足熱」の環境は、自然にはできないのですね。
ヒートショックの発症が特に多いのは浴室や洗面所・脱衣所、トイレです。暖かい居間から寒い脱衣所へ移動する、浴室で熱いお湯に入る、夜間に布団から出てトイレへ行くなど、日常生活の中にも危険がいっぱい。
ヒートショックについては、下記のサイトで詳しく知ることができます。入浴に関する情報が充実しています。
STOP!ヒートショック
https://heatshock.jp/
また、危険を少しでも防ぐための予報サイトもありますので、活用してみてはいかがでしょうか。
日本気象協会 ヒートショック予報
https://tenki.jp/heatshock/
気温差を小さくして快適に
今でこそ日本の住宅も機密性が高くなりましたが、木造の伝統的日本家屋の多くは風通し良く作られていました。空調機器のない時代には、湿度の高い夏を少しでも快適に過ごせるように工夫する必要があったのでしょう。今でも「暑いのは耐えられないけど、寒いのは服を着込めばしのげる」と言う方もいらっしゃいますが、身体に良くないのは上記の通りです。
外が寒いのはどうしようもありませんが、家の中ではちょっとした工夫で温度差を緩和することができます。トイレや脱衣場に小さなヒーターを置く、部屋のドアをあけて廊下まで暖める、などの方法ならすぐにでも取り入れられそうです。
また、高齢者のいるご家庭でしたら、暖房器具を替えたり、空調系のリフォームをするとさらに安心です。暖房器具も進化していて、これまでは取り付けが難しかったスペースに設置できるエアコンなども登場していますので、お近くの電気店などに相談してみてはいかがでしょうか。
健康に快適に、寒い季節を乗り切りましょう。