季節を感じる「食」

年末年始は、忘年会にクリスマス、年があければおせちに新年会と、ごちそうを食べる機会が多いですね。

自然の中で季節を感じることは少なくなりましたが、忘年会では鍋をつつき、クリスマスにはチキンを食べ、正月にはおせちを囲むといった、イベントでの「食」は季節を映しています。
特に正月料理は、日本食の中でも特別ではないでしょうか。新年を迎えて、お屠蘇を祝い、お雑煮やおせちをいただくと、華やかな中にもキリッと気持ちが引き締まる思いがします。

奥が深いお雑煮

お雑煮は、地域や家庭によって数限りないバリエーションがあります。全国には個性的な雑煮がたくさん存在しますので、出身地の違う人にお雑煮の話を聞いてみると、なかなか興味深いものです。
汁はすまし汁か味噌味か、もちは丸いか四角いか、具は何が入るのか……たまに、覚えていないという方にも遭遇しますが。皆さんはどんなお雑煮を召し上がるのでしょうか。

福山市あたりの代表的な雑煮は、すまし汁に丸餅、かまぼこ、鶏肉、水菜などが入ったものです。それから「ちくわ」を入れる家庭もあります。当地では鯛ちくわなども特産で、普段からなじみのある食材ではありますが、雑煮に入れるのは「穴が空いていて見通しが良い」から。雑煮の中のちくわは、新しい年の幸せを祈る縁起物なのです。
広島県内では特産のカキを雑煮に加える地域もあり、その土地ごとの産物を生かしてきた先人の知恵を感じます。

地元ならではのおせち

郷土の味と言えば、「がじつ和え」をご存じですか? がじつとは賀日=元旦のことだそうです。
これは焼き穴子とほうれん草を和えた正月料理で、福山だけでなくお隣の尾道市など、広島県の瀬戸内海側ではよく食べられています。穴子もほうれん草も地元でとれますから、まさに地産地消ですね。身体に良い健康食材で、元気に一年を過ごせそうです。

また、おせち料理に欠かせない野菜のひとつに「クワイ」がありますが、実はこれも福山市の特産品で、生産量は日本一。なんと全国のクワイの約8割は福山市で収穫されています。収穫時期が短く、お正月に旬を迎える野菜です。
芽を出している様子が縁起が良いということで好まれていますが、見た目の良さだけでなく栄養価も高い野菜ですから、おせちに入っていたらぜひ召し上がってみてください。

参考:100年後まで伝えたい!ばらのまちふくやまの味 (郷土料理編)
http://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/soshiki/kenkosuishin/993.html/

おせちは作る?買う?

旧家の台所や、かまどがあるような古い大きな農家のお勝手を見ると、昔は行事があれば大勢で料理をしていたのだろうと想像されます。
何をするにも手間や時間がかかったはずで、お正月などハレの日の料理を作るのは楽しくも大変なことであったでしょう。女性たちの苦労がしのばれます。
現代では生活様式も変わり、そのような機会は減りました。また、住宅やキッチンはどんどん進化しています。水回りなどは特に、昭和の時代と比べても圧倒的に便利になりました。設備によって生活しやすくなっていると考えると、うれしいことです。親戚一同で料理をする機会はないかもしれませんが、快適なキッチンで、お子さんと一緒に「うちの味」のお雑煮を作ったりするのも楽しい時間でしょう。

郷土料理などをちょっとだけ作って、他のおせちは買ったり取り寄せたり、というのも令和風(?)かもしれません。
デパートやスーパー、コンビニのおせち料理は年々充実し、売れ行き好調だと言います。お重に詰められた豪華なものから、好きなものだけちょっと食べたい、という少量派向きのものまで、ありとあらゆるタイプが揃っています。一人暮らしでも大家族でもお正月の味を楽しめるのは良い時代だな、と思ったりします。

おいしいおせちを食べて、健康で幸せな一年をスタートしたいですね。
新年もどうぞよろしくお願いします。

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