2022年の立春は2月4日です。
この時期、「暦の上では春ですが…」ということばをよく耳にしますが、まさにその通りで、春とは名ばかりの寒さが続きます。
しかし、寒いからこそ春は待ち遠しく、小さな変化に春を感じるのがこの季節の楽しさでもあります。
季節の変わり目
立春は春の始まりの日とされ、その前日が節分です。
「節分」は季節の分け目という意味ですから、立夏、立秋、立冬の前日も該当するのですが、現代では節分と言えば春が一般的になっていますね。
節分には全国各地でさまざまな行事が行われます。
季節の変わり目には体調を崩しやすいため、それを鬼や魔物のしわざと考えて、邪気を払おうとしたのではないかと考えられています。
寒さを乗り越えて無事に春を迎えたいという、昔の人たちの思いが伝わってくるようです。
地域色が楽しい節分
各家庭や集落での風習、神社仏閣での節分祭や節分会など、節分の行事はバリエーションが豊かです。
地域によっては、独特の魔除け飾りや特別な食べ物を用意する場合もあります。
節分行事としてもっとも多く行われているのは「豆まき」でしょう。
「鬼は外、福は内」のかけ声で炒り大豆をまく、というイメージがありますが、豆まきのやり方も実はさまざま。
ご家庭では、衛生面を考えて小袋入りのお豆を使うことも増えているのではないでしょうか。
北海道などでは大豆の代わりにから付きの落花生を使うそうですし、神社やお寺では豆だけでなくお餅をまくところもあります。
近年では全国的に恵方巻きが人気ですが、これも関西地方のごく狭い地域での風習から始まったものだそうです。
福山市では、新市町にある備後一宮吉備津神社の節分祭がとてもユニークです。
豆まきの後、夜には「ほら吹き神事」が行われます。
焚き火を囲んでホラ話をして、みんなで大笑いするという奇祭です。
起源は定かでないということですが、おもしろい話をして笑っていれば厄が逃げていきそうですね!
今は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、こうした神事も以前とは少し違った形で開催されていますが、幸せを願う思いは変わりません。
福山市ホームページ 観光スポット・史跡「吉備津神社」
https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/sights-spots/94329.html
ひろしま文化大百科 備後一宮節分祭(ほら吹き神事)
http://www.hiroshima-bunka.jp/modules/newdb/detail.php?id=315
一足早い「お花見」
さて、2月の厳しい寒さの中でも、木々はもう花を咲かせています。
冬から早春にかけてパッと目立つのは椿でしょうか。
薄い黄色の臘梅(ロウバイ)、白や紫の沈丁花(ジンチョウゲ)などは小さな花ですが香りが良く、冷たい空気がよりさわやかに感じられます。
周りに人がいなければ、花の前ではちょっとマスクを外して香りを楽しみたいですね!
2月も下旬になると、梅の花が盛りを迎えます。
梅は中国原産ですが、古くから日本人に親しまれてきました。
そういえば令和という元号の由来は、万葉集におさめられた梅花の宴の歌の序文でした。
平安以前の人々にとっては、花見と言えばまずは梅だったのかもしれません。
梅は品種が多く、全国各地で愛されています。わが福山市にも、丁谷(ようろだに)の梅林という梅の名所があります。
観光地ではないので派手さはないですが、コロナ禍にあっては、かえってありがたい環境です。
丁谷は江戸時代の儒学者・漢詩人にして教育者でもあった菅茶山が生まれ育った旧・神辺宿のあたりです。
茶山の漢詩には梅を題材にしたものも多くあるということで、200年前の人が愛した梅林が今でも大切にされているのはすばらしいことですね。
茶山の記念館が建てられていますので、梅の花見を楽しんだ後に歴史を感じてみるのもよいかもしれません。
菅茶山記念館 周辺の風景
https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/kannabe-kanchazan/8333.html
春への願い
例年ならインフルエンザにお気を付けて、と申し上げるところですが、それよりもやっかいな新型コロナウイルスがまだまだ去ってくれません。
できるだけの対策を続けながら、身の回りに小さな春を見つけて、前を向いていきたいと思います。
皆様がご無事で、明るい季節を迎えられますよう願っています。