7月に入ると、宅配便のドライバーさんや郵便配達員の方々はいつもにも増して忙しくなります。
そう、お中元のシーズンですね。
年明けから半年間の感謝を込めて、お世話になった方へ贈るのがお中元です。
お中元はいつ始まった?
日本の文化としてすっかり定着しているお中元ですが、その歴史は中国の古い暦にさかのぼります。
古代の中国の道教では、一年間を上元、中元、下元の3つに分けていました。
中元は7月15日で、この日には神様にお供え物をしていたそうです。
やがて仏教が盛んになると中元は盂蘭盆会と結びつき、ご先祖様への供養が行われるようになりました。
日本に伝わってきたお中元の風習も、神様やご先祖様へのお供え物からはじまったと考えられています。
供養として一緒に食事する代わりとして食物などを贈りあうようになったようです。
江戸時代には商人の間で盆暮れにちょっとした贈りものをする習慣が広がり、現代のようにお世話になった方へ贈りものをするスタイルが固まったのは、明治期だそうです。
百貨店が出現し、贈答品が盛んに売り出されるようになったことから、商業的な行事としても定着していったのでしょう。
最近のお中元の傾向
お中元やお歳暮は目下の人から目上の人へと贈るものとされていましたが、今ではあまり上下を意識することはなく、その点ではだいぶカジュアルになりました。
個人間でのお中元はだいぶ減ってきましたが、ビジネスの世界ではまだ盛んに贈られています。
その内容はといえば、暑い時期ですから、傷みにくく日持ちするもの、冷たいものが主流となります。
ビールや清涼飲料水、冷菓やアイスクリーム、焼き菓子、お茶や海苔などが代表格でしょうか。
デパートやスーパーのお中元カタログには食品を中心にさまざまな商品が並び、非常に迷いますが、贈る相手を思い浮かべながら選ぶ作業は楽しいものです。
工芸品などもありますが、どちらかというと食品、消耗品などあとに残らないものの方が、受け取った側の負担は少ないように思われます。
親しい間柄であれば相手の好みに合わせて、ちょっと変わったものでも良いでしょう。
地方の名産品や、知る人ぞ知るブランドのお菓子などは、贈り手のセンスや個性が光る贈りものとして、受け取る側にとっても新鮮で嬉しいものです。
企業宛に送る場合は、奇をてらうより上質感のあるもので、食品なら手間なく配れる個包装のものが好まれるようです。
お中元を贈るのが遅れたときは?
お中元を贈る時期は地域によって異なります。
例えば、関東地方では7月初旬から15日頃までが一般的ですが、関西地方では8月初旬から15日頃までが主流です。
全国的な傾向としては、7月中旬から8月中旬にかけてが最も多いとされています。
贈る相手に合わせて、地域の習慣まで調べて贈るのがベストですが、全国の取引先に発送するような場合はちょっと難しく、無難なところで7月初旬を目指す感じでしょうか。
最近では、物流の混雑を避ける意味もあって6月下旬に贈るケースも増えていますし、時期に関してもだいぶゆるやかになっています。
お中元の時期を過ぎてしまった場合でも、慌てる必要はありません。
立秋を過ぎてもまだまだ暑さが続きますから、「残暑見舞い」として贈りものをすることができます。
時期が少しずれることで、他のお中元と重ならず、逆に印象に残りやすい効果もありますね。
特に、季節のフルーツなら旬に合わせて送ったことが伝わるのでおすすめです。
例えば、夏から秋にかけて旬を迎える桃やぶどう、早生の梨などは、贈りものとして非常に喜ばれます。
逆に、早めの時期に贈るなら、さくらんぼやメロン、マンゴーなどのトロピカルフルーツも人気です。
ただし、フレッシュフルーツは日持ちしないため、お届け先の事情を考えて選びましょう。
一番大事な、お中元の心
いつ、何を贈るかということ以前に、お中元で一番大事なのは相手を思う心と、感謝の気持ちです。
現代のライフスタイルやニーズに合わせたお中元の選び方を工夫しながら、お世話になった方へ日頃の感謝を伝えましょう。
さあ、あなたは誰に何を贈りますか?