日本には四季があり、季節ごとにさまざまな楽しみがあります。
季節の移り変わりは私たちの生活に大きな影響を与え、多様な行事や文化を生みだしてきました。
春、夏、秋、冬それぞれに、イメージされる風景や花々、食べ物やお祭りがありますね。
気候にめりはりがあることで、時の流れを感じたり、気持ちが変化したりという場合もあると思います。
四季の楽しみ
平安時代の随筆「枕草子」の書き出しは四季それぞれの美しさがテーマになっています。
「春はあけぼの」というフレーズはあまりにも有名ですね。
春は夜明けのころが美しい、だんだん白くなっていく山の端のほうが少しあかるくなり、紫がかった雲が細くたなびいている……と、春の美しい風景が描かれます。
続いて「夏は夜」「秋は夕暮れ」「冬はつとめて(早朝)」と筆者・清少納言がとらえた季節ごとの様子が豊かに表現されています。
四季がはっきりしていたことで、このような文学も生まれたのでしょう。
エアコンなどない時代の人たちは、今よりももっと敏感に季節を感じていたのかもしれません。
また、今でこそ野菜や果物は一年中手に入るようになりましたが、季節ごとの豊かな実りはやはり大きな喜びです。
海の恵みも季節によって変わります。
広島では、春は鯛や鰆、夏は小鰯や鮎、秋は鯖や太刀魚、そして冬にはなんといっても牡蠣ですね。
四季があるおかげで、初物、旬のものと食の変化も楽しむことができます。
好きな季節は?
春夏秋冬のうち、どの季節が好きですか?
公式な統計は見つけられなかったのですが、各種アンケートによれば、秋と春の人気が高く、次いで夏、冬の順で好きと答えた人が多かったようです。
生活スタイルや趣味、それぞれの事情によって好みの季節は違うものの、秋と春は過ごしやすい気候なので、この結果にはなんとなく納得してしまいました。
春は始まりの時期で気持ちが明るく、夏は夏休みがあり開放的、秋は過ごしやすくておいしいものが多い、冬はスキーやクリスマス、お正月が楽しみ。
枕草子ほどの風情はないとしても、季節のことを考える機会が多いのは現代日本でも変わりません。
長すぎる夏
最近では夏がすっかり長くなってしまいました。
春夏秋冬がおよそ3ヶ月ごとに移り変わっていくのが日本の四季のイメージだったのですが、いまや一年の半分は夏のようです。
関東以西では5月から10月くらいまで暑さを感じる日が多くなっています。
最高気温が35度を超える日は猛暑日、30度を超える日は真夏日とされますが、今年は特に猛暑日、真夏日が多いですね。
広島県では、これまでもっとも遅い猛暑日の記録が9月15日だったのですが、ついに更新されてしまいました。
真夏日の日数もここ30年ほどは非常に多くなっていて、10月になってもしばしば記録されています。
これでは夏物の服も扇風機もなかなか片付けられませんね。
暦の上では秋になっても、暑さ対策は夏のつもりで続けていかなくてはならないようです。
9月も半ばになればスーパーにはりんごや栗も並びはじめます。
エアコンが効いた部屋で栗ご飯というのは少々季節感がない気もしますが、致し方ありません。
さすがに朝や夕方にはふっと涼しい風を感じることが増えてきますし、これから少しずつ秋が深まっていくのを楽しみにしたいと思います。
参考:江波山気象館「広島の真夏日日数」https://www.ebayama.jp/?page_id=11158
季節の変わり目に
さて、四季の変化には喜びがありますが、気候が変わると心身の不調が出やすくなりますね。
特に冬から春、夏から秋は調子を崩す人が増えるようです。
厳しい気候に耐えてきた疲れが出るのかもしれません。
特に、今年のように厳しい暑さが長期間続くと、健康な人であってもかなり負担がかかっていると思われます。
季節の変わり目には無理をせず、なるべく休養と栄養を取るようにしたいものです。
夏休みを9月にとるのも、案外理にかなっているのかもしれません。
夏の疲れを癒やし、リラックスして、旬のおいしいものをいただきましょう。
体だけでなく、心のケアも忘れずに。
日が短くなると、なんとなく心細い気分になったり、気持ちが沈んだりする人もいます。
日照時間の変化が心に影響を及ぼすという研究結果もあるそうで、油断は禁物です。
辛さを感じたときは、一人で悩まずにカウンセリングを利用するなど、早めに対処するのがよさそうです。