美術館で会う「仏さま」

芸術の秋、美術館に行ってみるのもよいですね。

絵画に彫刻、洋画に日本画、古典美術から現代アートまで、美術館ではさまざまなアートに触れることができます。

弊社の地元である福山市のふくやま美術館では、特別展「ふくやまの仏さま―国宝明王院本堂本尊33年ぶり特別公開記念」が2024年10月12日から開催されます。

ふくやま美術館の特別展「ふくやまの仏さま」

福山は歴史のある土地で、古くから人の往来が多かった場所です。

瀬戸内海からも山陽道からも、時代ごとにさまざまな形で仏教文化が伝わり、今でも寺院の多い土地柄です。

福山の代表的寺院の一つである明王院は、真言宗大覚寺派の古いお寺で、本堂と五重塔が国宝指定されています。

本堂のご本尊である「木造十一面観音立像」(重要文化財)は平安時代に作られたもの。

普段は秘仏とされており、ご開帳(公開)は33年に一度だけです。

2024年はその本尊開帳の年にあたるため、地元ふくやま美術館でも記念の展示が行われることになったそうです。

この機会を逃したら、次は33年後まで会えない貴重な観音様です。

展覧会は前期と後期に分かれており、木造十一面観音立像が展示されるのは後期の11月12日(火)~12月15日(日)です。

ふくやま美術館

https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/fukuyama-museum

福山市内の仏像

仏像は仏教の信仰対象として、開祖であるお釈迦様やさまざまな仏様の姿をあらわしたものです。

現代では宗教とは切り離して美術品として仏像を鑑賞することも一般的になり、美術館や博物館に仏像や仏画が数多く収蔵されるようになりました。

特別展「ふくやまの仏さま」では、十一面観音立像と同じく重要文化財に指定されている備後一宮吉備津神社の「木造狛犬」、安国寺の「木造阿弥陀如来及び両脇侍立像」なども展示されます。

普段は市内の各寺社に安置されている貴重な品々を一度に観られるのはすごいですね。

中には、普段は一般公開されていないものもあります。

平安時代や鎌倉時代など、古い時代に作られた仏像や仏画ですから、歴史に思いをはせながら鑑賞したいものですね。

展示会が終われば、仏さまたちは本来の居場所であるお寺に戻られます。

お寺にまつられている仏像や仏画の掛け軸は、信仰対象として非常に大切にされています。

いつでも観られるというわけではありませんが、中には公開されている仏像もあります。

また、古い寺院は建造物自体も芸術品のように見事ですから、お参りすると目の保養にもなりますね。

仏像鑑賞ブーム

各地のお寺を巡って仏像を鑑賞することは、どちらかというと中高年向きの渋い趣味という印象でした。

しかし、2000年代になると、仏像好きを公言するタレントが登場したり、仏教とは関係のない雑誌で仏像が取り上げられたりするようになりました。

そして、ブームと呼ばれるまでに人気を集めるようになったきっかけは、2009年に東京国立博物館と九州国立博物館で開催された「国宝 阿修羅展」だと言われています。

この特別展は若い世代にも人気となり、2館合計で計165万人を集めました。

それからすでに10年以上が経ちますが、今でも仏像の人気は衰えていません。

20代の若い仏像ファンもそうめずらしくはないようです。

さらに、最近は海外から日本のお寺を訪れる人も増えています。

アジアでも地域ごとに仏像の特徴は違いますし、仏教が盛んでない国から来た人たちにとってはまさに異文化体験となるのでしょう。

仏像の楽しみ方

他の美術品と同様に、仏像も自分の好きなように鑑賞すればよいと言われます。

しかし、比較的見慣れている絵画などとは違い、初心者にとってはどこをどう観ればよいのかわかりづらいですね。

仏像鑑賞に詳しい人に尋ねてみたところ「顔・表情」「手のかたち」「衣服のひだ」「持ち物」など、ポイントを決めて観ることを勧められました。

一番わかりやすいのはお顔でしょうか。

一言に仏像といっても、如来、菩薩、明王、天部など仏様の種類によってお姿が異なります。

また、時代や地域によっても表現が違うので、仏像の顔立ちや表情は、優しそうだったり厳しかったりと実にさまざまです。

美術展の場合はお寺よりも近くで仏像を見られることが多いので、ぜひじっくりお顔を拝見してみたいものです。

もしかしたら、誰かにそっくりの仏様が見つかるかもしれません。