近年、さつまいもの人気はますます高まっています。
品種改良や栽培技術が進んで、おいしいさつまいもが増えていますし、健康志向の高まりなども背景にあると言われています。
さつまいもは一年中手に入りますが、旬は秋です。
幼稚園や小学校で、秋に「芋掘り」をした楽しい思い出がある方も多いのではないでしょうか。
さつまいもの歴史
さつまいもの原産は中米のメキシコ付近とされています。
日本でさつまいもが栽培されるようになったのは江戸時代で、中国から琉球を経て薩摩へと伝わり、飢饉を救う植物として重宝されるようになりました。
江戸の蘭学者・青木昆陽が8代将軍・徳川吉宗の力を得て、さつまいも栽培を全国へ広めたことはとても有名です。
飢饉が多かった当時、やせた土地でもよく育ち、稲よりも手間がかからず収穫できるさつまいもは、多くの人の命を救ってくれました。
第二次世界大戦時の食糧難時代には、学校の校庭までがさつまいも畑にされてしまったという悲しい歴史もあります。
当時は味は二の次で、収穫量の多い品種が選ばれていました。
80代、90代のお年寄りの中には、戦時中にまずい芋しか食べるものがなかったという辛い記憶から、さつまいもは嫌いという人もいます。
天然スイーツ・ヘルシー野菜
戦時中とは違い、現代のさつまいもはお腹を満たすためだけのものではありません。
砂糖を加えなくても甘くておいしく、食物繊維や栄養も豊富なことから、スイーツとしての需要も非常に増えています。
ヘルシーなイメージで、「罪悪感がないスイーツ」と呼ばれたりもしますね。
焼き芋や干し芋、スイートポテト、大学芋など、さつまいものスイーツはほんとにたくさんあります。
もちろん、蒸しただけでもおいしくいただけますし、天ぷらや煮物、サラダなど食事の一品としてもさつまいもは大活躍です。
日本のさつまいもは人気者
日本のさつまいもは、そのおいしさから海外でも人気です。
輸出先は東南アジアが中心で、香港、シンガポール、タイで全体の9割を占めていますが、国によって人気品種は異なるそうです。
日本国内ではあまり人気がない小ぶりのお芋は、香港では「食べやすくてちょうどいい!」とヒット商品になりました。
生の芋だけでなく、冷凍焼き芋などの加工品もよく売れているということで、さつまいもの輸出はこの先、さらに増えそうな勢いです。
日本では食糧自給率の低さが心配されていますが、さつまいもに関しては自給率94%と、ほぼ国産でまかなえる状態です。
この点でもさつまいもは優等生ですね。
海に囲まれた日本では、食品輸入がストップする非常事態が起きないとも限らず、それに備えて芋の栽培量は増やしておきたいというのが国の方針なのだそうです。
危機に備えるのは大事な方策ではありますが、「他に食べるものがないから」ではなく「おいしいから」さつまいもを食べる、という今の状況が続いてほしいものです。
さつまいもの生産量ナンバーワンの県は?
さつまいもの生産量1位は鹿児島県です。
さすが、栽培の歴史が古いだけありますね。
鹿児島県では、通常の食用だけではなく、加工用や飼料用のさつまいもも多く栽培されています。
でんぷんも加工用さつまいもから作られますし、薩摩といえば、なんといっても芋焼酎ですね。
ある企業では、焼酎の製造過程で出る芋のかけらや絞りかすなども無駄にせず、発酵させてガスを作り、ボイラー燃料や発電燃料として活用しているそうです。
さらに、燃料を取った残りは肥料にするということで、すばらしいSDGsですね。
茨城県は、生産量では2位ですが、農業産出額としては全国トップです。
糖度の高さや食味の良さで名高い「紅はるか」や、海外にもファンが多い「シルクスイート」など、さまざまな品種が栽培され、ブランド化にも力を入れています。
加工品としては、昔から作られていた「干し芋」が今ではブームになるほど人気で、コンビニにも並ぶようになりました。
当社の地元・広島県では、生産量こそあまり多くはないものの、県内各地でおいしいさつまいもが作られています。
さつまいもの芋掘り体験ができる農場もあちこちにありますし、地元産のさつまいもを加工して商品化しているお店もあり、私たち広島県民にとってもさつまいもは身近な作物です。
福山市のお隣、尾道市の道の駅では、さつまいもの祭典が開かれますよ。
しゃまなみ「第3回みつぎいいもんフェス」さつまいもの祭典
https://syamanami.jp/event/detail.php?id=3399
ヘルシーでおいしい旬のさつまいもを、たっぷり味わいましょう!