福山市は「ばらのまち」。
福山市の花として最初に思い浮かぶのは、もちろん「ばら」です。
しかし、福山の花はばらだけではありません。
特に春は市内各地でさまざまな花を楽しむことができます。
早春を告げる梅と水仙
まだ寒くても、梅が咲き始めると春の訪れを感じます。
梅は古来から日本で愛されてきた木で、その花は香りも良く、奥ゆかしくて趣がありますね。
福山市の梅の名所として名高いのは、文人・菅茶山にゆかりの深い神辺町の「丁谷(ようろだに)の梅林」。
菅茶山は「丁谷梅を尋ぬ(ようろだにうめをたずぬ)」という漢詩を残しています。
丁谷の梅林に巡り会ったときのことを記した漢詩で、その内容はこんな感じです。
「木々の間から梅の香りが漂ってきて、進むにつれて次第に強くなる。突然、日常からかけ離れたような梅林があらわれた。恥ずかしい、梅好きを名乗りながら隣村にこんな梅林があったことを知らなかったとは。」
また、同じ神辺町の西福寺には菅茶山の「西福寺賞梅」の歌碑があります。
菅茶山が心から梅を愛していたことが伝わってきますね。
水仙も早春に咲く花です。
水仙の名所といえば、福山市内海町の「やぶ椿と水仙の里」。
もともとは樹齢300年のやぶ椿と約10万本の水仙が自生していた場所を、地元の方々が大切に管理されています。
ここでは、水仙に続いてミモザや河津桜も咲き始めます。風景の美しさと咲き競う花々は見事です。
花の名所ですが、実は飼われているヤギも人気だったりします。
鮮やかなツバキ
木偏に春と書いて椿(ツバキ)。
ツバキは冬から咲き始める品種もありますが、一番の見頃はやはり春です。
ツバキは日本原産で、交雑しやすい植物ということもあり古くから品種改良が行われてきました。
江戸時代には将軍から町民まで、全国各地でツバキの品種改良が盛んになりました。
江戸時代の人たちもバリエーション豊かなツバキの花を愛でていたのですね。
福山市沼隈町横倉の「平家谷つばき園」には、全国各地から集められた400種、約500本のツバキが植えられています。
品種の豊富さは、さすがツバキです。
品種ごとに見頃が違うため、長い期間にわたって花を楽しむことができます。
春の女王・桜
寒桜や河津桜の時期がすぎるとソメイヨシノが咲き始め、しだれ桜や八重桜も続きます。
福山市内には桜が美しい場所がたくさんあります。
公園だけでなく、学校や家庭のお庭などにも桜は植えられていますので、ちょっと近所を散歩するだけでもお花見ができてしまいますね。
市内の桜の名所のうち、もっとも知名度が高いのは「福山城公園」でしょうか。
福山城を背景に咲き誇る約300本の桜は圧巻です。
3月下旬から4月上旬には桜まつりが開催され、たくさんの人が訪れます。混むとわかっていても春には桜を見たくなってしまうのは私だけでしょうか。
福山城公園では、桜の時期には夜間のライトアップもありますので、夜桜見物もおすすめです。
昼間とは違った幻想的な桜を観ることができます。
見事なしだれ桜の巨木があるのは福山市沼隈町「福泉坊」。
平通盛の菩提寺とされる古刹で、この桜の木も樹齢300年といわれています。
福山を象徴するばら
桜の次は、いよいよばらの季節がやってきます。
「ばらのまち 福山」というだけあって、市内のあちこちでばらを観賞することができます。
福山市民にとってばらは身近にあるものですが、これはかなり贅沢な環境かもしれません。
年にもよりますが、春のばらは5月からが見頃となります。
「福山ばら公園」には670種、7000本のばらが植えられ、5月にはさわやかな甘い香りに包まれます。
福山市がばらのまちとなるきっかけとなった公園で、市民にとても愛されています。
防災機能を備え、ローズヒルと名付けられたピラミッド型のばら花壇があるのは「緑町公園」。
こちらも530種類、約7500本のばらが咲き誇り、その一部は市民が植えたものです。
福山市では毎年5月に「ばら祭り」「ばらのまち福山音楽祭」が開催されます。
加えて2025年5月には「世界ばら会議福山大会」、その開催を記念して「ローズエキスポ」も開かれます。
まさに、ばらづくしの5月ですね。
早春から5月まで、福山市では花巡りが楽しめます。
あなたの町では、どんな春の花が咲いているでしょうか。