夏の夜空に咲く大輪の花。
打ち上げ花火は心躍る夏のイベントです。
ドーン、ヒューッ、パンパンパン!独特の音とともに空いっぱいに花火が広がると、思わず見とれてしまいますね。
花火の歴史
花火は、火薬の発明地でもある中国で生まれたといわれています。
やがてヨーロッパに伝わり、イタリアやイギリスでも花火製造が行われるようになっていきました。
日本では室町時代から花火の記録がありますが、これらは唐人やポルトガルの宣教師らが持ち込んだもので、日本で花火製造が盛んになるのは江戸時代からです。
戦国時代が終わり、火薬が平和利用されるようになったのですね。
江戸時代になると、庶民の間でも花火が楽しまれるようになりました。
特に有名なのが、1733年に行われた隅田川での「川開き」。
前年に流行した疫病の犠牲者を慰め、悪霊を追い払うために打ち上げられたのが始まりだと言われていますが、諸説あるようです。
当時の花火は今ほど大きなものではなく、色も地味でした。
高価なものであったことから、一度に打ち上げられる数も多くはなかったそうですが、花火が上がるとなると江戸っ子はいてもたってもいられなかったようで、見物人が集まりすぎて橋が落ちたことさえあったそうです。
「たまや」「かぎや」という花火のかけ声は、19世紀初め頃に隅田川の花火でも活躍した鍵屋、玉屋の二大花火師に由来するものです。
花火は夏のもの?
日本では主に7月から8月にかけて、全国で数多くの花火大会が開かれます。
花火といえば夏の風物詩になっていますね。
実際には、花火は夏だけでなく秋や冬にも行われているのですが、夏の夕暮れ、少し涼しくなった風を感じながら見る花火は風情があります。
最近は夜でも蒸し暑いとはいえ、浴衣やうちわをお供に眺める花火は夏ならではの楽しみです。
ちなみに海外では、日本のように「夏=花火」という感覚はあまりありません。
どちらかというと、季節よりも記念日などと結びつけられることが多いようです。
たとえばアメリカでは、独立記念日の7月4日が花火の定番。
イギリスでは11月5日の「ガイ・フォークス・デイ」、オーストラリアや香港では年越しのカウントダウンに盛大な花火が打ち上げられます。
福山の夏は「あしだ川花火大会」
私たちの地元、広島県福山市の夏を彩る「あしだ川花火大会」は、福山夏まつりを締めくくるイベントです。
8月13日の二上がりおどり大会、14日のいろは丸YOSAKOIに続き、毎年8月15日に芦田川大橋上流で開催されています。
見どころは、西日本最大級という1.4kmの水上スターマイン。
合計で約16,000発もの花火が打ち上げられる、大きな花火大会です。
川面に映る美しい花火は、ここでしか見られない絶景。
近年は近隣の方ばかりでなく、全国各地、海外からのお客様も増えています。
屋台なども出て、賑やかで楽しい花火大会ですが、それだけに人気エリアの観覧チケットは早く売り切れてしまうことがあります。
混雑緩和のために、早めに来場するとお得になるチケットなどもありますので、興味のある方はぜひ、公式サイトを確認してみてくださいね。
あしだ川花火大会2025 https://fukuyama-natsumatsuri.jp/ashida/
全国の花火大会
日本三大花火大会と言われるのは、新潟県長岡市の「長岡まつり大花火大会」、秋田県大仙市の「全国花火競技大会(大曲の花火)」、茨城県土浦市の「土浦全国花火競技大会」です。
長岡の花火は、昭和20年8月1日の長岡空襲の犠牲者を悼み、毎年8月2日、3日に開催されています。
死者をなぐさめ、平和と復興を象徴するまつりの花火として、地元で非常に大切にされているものです。
そして、規模の大きさ、見事さからいまでは100万人を超える観客を集めるほどになりました。
大曲の花火は、全国の花火師たちが技を競い合う花火大会で、100年以上の歴史を誇る権威あるものです。
日本最高峰の花火競技大会として、毎年8月の最終土曜日に開催されています。
レベルの高い多彩な花火が見られることが特徴で、こちらも多くの観光客を集めています。
土浦の花火は11月に開催されますので、夏休みとはちょっとずれますね。
こちらも競技大会形式で、3つの競技種目と、さまざまな余興花火が行われます。
とくにスターマインは名高く、競技でもスターマインの部が最重要なのだそうです。
花火大会にもそれぞれ個性がありますね。
お住まいの地域では、どんな花火大会が開催されるでしょうか。
今年の夏も、心に残る花火のひとときを過ごせますように。