雷から身を守る

近年、温暖化の影響もあるのか日本では雷の発生件数が増えています。

雷は年間を通して発生し、日本海側は冬、太平洋側は夏に多くなる傾向ですが、日本全体で統計を取ると、もっとも多く雷が発生するのは8月です。

遠くで光る雷光は美しくもありますが、身近に落ちれば大きな被害をもたらす存在でもあります。

生活の中の雷

雷はよく見られる自然現象で、昔から人々におそれられ、さまざまな伝承や言い回しが残っています。

雷の語源は「神鳴り」だという説があり、音や光、落雷の衝撃などが神の仕業だと考えられていたことがうかがえます。

昔の子どもたちは、雷が鳴るとおへそを隠したものでした。

なぜ雷さまが子どものおへそを取るという伝承が生まれたのは定かではありませんが、「雷雨の後は気温が下がるのでお腹を冷やさないようにするため」「前屈みの姿勢で落雷被害を避けるため」などの説があるそうです。

雷光を示す「稲妻」は、「稲を実らせるもの」という意味を持っています。

雷は田畑に恵みの雨をもたらすことが多いため、豊穣のしるしと考えられたのでしょう。

ちなみに、俳句の世界では雷や雷雨が夏の季語なのに対して、稲妻、稲光は秋の季語です。

雷の正体

古くから人々の生活と深い関わりがある雷ですが、その正体が電気による現象であることが実験で確かめられたのは18世紀のこと。

1752年6月にアメリカのベンジャミン・フランクリンが雷雲近くまで凧を揚げて、雷と電気の関係を証明した話は有名ですね。

雷の発生メカニズムは今でも完全には解明されていないということですが、おおよそのしくみはわかってきました。

雲の中で氷や水滴がぶつかり合い、静電気のように電気がたまります。

それが限界に達すると地上や空気に放電し、雷となるのです。

特に夏場は大気が不安定になるため、雷が多く発生します。

落雷のおそろしさ

雷が地上に到達して放電されるのが落雷です。

雷は大きな電気エネルギーですから、人に落雷すれば感電により命の危険がありますし、建物に落ちると停電や火災の原因になる場合もあります。

雷は、周囲より高い建物や木などに落ちやすいといわれます。

しかし、広いグラウンドやゴルフ場などの開けた場所では、最も高い位置にいる人も落雷の危険にさらされます。

落雷で亡くなる人は日本だけでも年間20名ほどになると言われ、今年も訓練中の自衛隊員が落雷被害に遭ったという悲しいニュースがありました。

他の自然現象と同様に、雷を止めることはできませんので、避ける工夫をするしかありません。

雷から身を守るには

雷は急に発生することが多いですが、天気予報や気象庁の「雷ナウキャスト」などを利用すれば、発生予測や現在の雷雲の状況を確認できます。

お出かけ前や屋外活動の前にチェックする習慣をつけると、安心につながりますね。

もし屋外にいるときに雷が近づいてきたら、建物や車の中にすみやかに避難しましょう。

野球やサッカーなどの屋外スポーツでも、雷の際には試合を中断して安全な場所で待機することが常識になってきました。

車は金属製なので危険なのでは?と感じる人もいるかもしれませんが、金属が雷を呼ぶというのは迷信です。

もし車に落雷したとしても、その電流はタイヤを通して地面へと抜けていき、中にいる人はしっかり守られます。

雨が降っていたりすると、つい木の下に入りたくなりますが、これはとても危険です。

雷は高いところに落ちやすく、樹木に落ちた雷の電流は人に飛び移ることがありますし、地面から感電してしまうかもしれません。

木の下で雨宿り中に雷が近づいてきたら、なるべく早く木から離れるようにしましょう。

もし、どうしても避難場所が見つからない場合は、その場にしゃがんで、できるだけ体を低く保つとよいそうです。

まさに「おへそを守る」姿勢ですね。

建物を守る避雷針

日本の法律では、20mを超える建物には避雷針を設置することが義務づけられています。

避雷針は建物の最上部に取り付ける棒状の導体で、雷の電流を地面に逃がすための設備です。

雷そのものを防ぐわけではなく、むしろ雷を誘導してそのエネルギーを安全に処理することで、雷の被害から建物を守っています。

通常はあまり意識することがない装置だと思いますが、建物や人を守る重要な仕組みです。

雷の季節になるとその存在のありがたさが際立ちます。

空を照らす雷は迫力があり、自然の力強さを身近に感じさせてくれる現象ですが、一方で私たちの生活に危険を及ぼすこともあります。

しかし、正しい知識と備えがあれば、災害リスクを減らすことができます。

危険を早めに察知して、雷のシーズンを安全にお過ごしください。

定期ブログ

前の記事

夏野菜パワー