短い秋はあっという間に去ってゆき、11月はもう冬の気配です。
紅葉の季節でもありますが、山々が彩られるころには、冷たい風も吹いてきます。
木枯らし1号
木枯らしとは、木の葉を散らすような冷たい強い風のことを指します。初冬の木々が葉を落とし、枝があらわになっていく姿や、落ち葉がカサカサと吹き散らされる様子が目に浮かびますね。
ちょっと詩的な雰囲気があることばで、冬の季語になっていますし、曲名や歌詞にもよく登場します。
今年の「木枯らし1号」は、近畿地方でも東京地方でも、11月3日に観測されました。
昨年よりは4日遅かったということです。
気象庁によれば、「木枯らし1号」とは、「10月半ばの晩秋から11月末の初冬の間に、初めて吹く毎秒8メートル以上の北よりの風」とされています。
「木枯らし1号が吹きました」というニュースは毎年聞いているような気がしますが、実は東京地方では、過去10年のうち2018年、2019年、2021年、2022年には木枯らし1号が吹いていません。
木枯らしは1号だけでなく、その後も吹くことがありますが、気象庁から発表されるのは1号だけ。
そして、木枯らしの発表がされる地域は、東京地方と近畿地方だけです。
そういえば、「中部地方に木枯らし1号が…」という報道はないですね。
また、この木枯らし1号の発表がいつから始まったのか、気象庁に正確な記録はないのだそうです。
身近なものでありながら、意外と謎が多いですね。
立冬から冬至へ
木枯らし1号が吹くのは立冬のころが多いようです。
今年は11月3日でしたが、昨年は11月7日で、まさに立冬の日でした。
立冬は二十四節季のひとつで、秋分と冬至の間にあたります。
過ごしやすい秋がもう少し続いてくれるとうれしいのですが、暦の上では冬の始まりです。
立冬から冬至にかけては、次第に寒くなり、日暮れも早まっていきます。
日照時間の短さは季節性うつの原因になるというデータもあり、さびしさを感じやすい時期でもあります。
冬至には、かぼちゃを食べたり柚子湯に入ったりする習慣がありますが、立冬には特別な行事や行事食はありません。
イベントはなくても、立冬は本格的な冬支度を始めるのにちょうどよいタイミングです。
温かく過ごすために
寒さが本格化する前に、身の回りを整えておくと、冬の訪れを穏やかに迎えることができます。
まずは衣類の準備でしょうか。
衣替えのタイミングが難しくなっていますが、寒暖差のあるこの時期は、重ね着が活躍します。
インナーだけを温かい素材に変えたり、羽織るものを変えるだけで間に合うという方も多いかもしれません。
重ね着とはいえ、今は高機能素材の温かい衣類がありますので、着ぶくれしなくても済むようになりました。
外出時には風を通さないアウターがあると安心です。
薄手のダウンジャケットはかさばらないわりに温かいので人気ですし、マフラーや手袋も体の冷えを防ぐのに役立ちます。
気温や体調に合わせて、上手に使い分けられたらいいですね。
暖房器具もそろそろ出番です。
エアコンやストーブなどは、早めに状態をチェックし、手入れをしておきましょう。
エアコンは部屋全体を暖めるのに適していますが、こたつやホットカーペット、電気毛布のように、体の一部を集中的に温めるアイテムも重宝します。
受験生がいるご家庭では、机の足下を暖める小型のパネルヒーターや足温器が活躍するのではないでしょうか。
暖房を使うと空気が乾燥しがちなので、加湿器を併用すると快適さがぐっと増します。
喉の乾燥を防ぐだけでなく、風邪予防にもつながりますね。
体を内側から温める食べ物や飲み物は、冬の楽しみの一つです。
寒い朝には温かい飲みものがあると、体が目覚め、元気が出ます。
お茶やホットミルク、生姜湯も良いですし、インスタントのカップスープなども常備しておくと便利です。
夕食には鍋料理や具だくさんのスープがぴったりです。
旬の野菜をたっぷり使えば、栄養も取れて、体も心も満たされます。
冬の始まりは、少しさびしさも感じる時期ですが、工夫次第で心も体も温かく過ごせます。
木枯らしの音に耳を澄ませながら、季節の移ろいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

