11月半ばを過ぎるとあちこちで「ブラックフライデーセール」を見かけるようになりました。
もともとはアメリカの商習慣でしたが、ここ10年ほどの間に、日本でも身近なイベントになっています。
ブラックフライデーとは?
ブラックフライデー(Black Friday)は、アメリカで感謝祭(11月第4木曜日)の翌日にあたる金曜日のことを指し、年末商戦のスタートを告げる日として知られています。
感謝祭の翌日は休みを取る人が多く、この日からアメリカの小売店ではセールが始まります。
日付が変わってすぐに開店するお店もあり、真夜中や早朝から列ができることもあるそうです。
年末のホリデーシーズンに向けて、気合いの入った安売り合戦が繰り広げられるのです。
1950年代に始まったとされるこのセールは、今ではアメリカだけでなく世界各国に広がりを見せています。
なぜ「ブラック」?
それにしても、買い物イベントがどうして「ブラック」なのでしょうか。
ブラックフライデーの由来には諸説ありますが、もともとはあまり良い意味ではなかったという説が有力です。
アメリカ方言協会によれば、ブラックフライデーということばが新聞記事に初めて登場したのは1951年。
感謝祭の翌日に労働者が仮病を使って欠勤するため工場が機能せず「困った金曜日」という意味で使われていたということです。
そして、この記事には、それを解決する方法として、最初からこの日を有給休暇にした企業の例が紹介されています。
結末はブラックというよりホワイトですね。
また、1960年代初頭のフィラデルフィアでは、感謝祭の翌日に、買い物客による混雑から大変な交通渋滞が起こっていました。
交通事故も多発し、頭を悩ませた警察官たちはこの金曜日のことをブラックフライデーと呼んでいたということです。
商店主たちはブラックフライデーというマイナスのことばを好まず、「ビッグフライデー」に変えようと奮闘したようですが、定着しませんでした。
その後、1980年代になると「ブラックフライデー=お店が黒字になる日」という解釈が広められ、ブラックフライデーは明るく楽しいイメージのことばになりました。
日本での広がり
日本では2010年代後半から徐々に浸透し、2016年にイオンが全国規模で「ブラックフライデーセール」を開催したことが大きな転機となりました。
その後、百貨店、家電量販店、オンラインショップ、ファッションブランドなどが続々と参入し、現在では初冬の消費を後押しする恒例行事のひとつになっています。
日本ではもともと、お正月に向けての歳末商戦が盛んなので、当初は年末の消費への影響を危惧する向きもあったようです。
しかし、今では小売・サービス企業の間ではブラックフライデーを重要な販促機会として見なす動きが強くなっています。
今後、さらに広がっていく可能性が高そうです。
複数の民間調査会社のデータによれば、ブラックフライデーの日本での認知度はすでに80%を超えているということです。
ただし、実際にブラックフライデーのセールを利用したという人は50%未満というデータもあります。
スーパーなどでは、通常商品を黒いパッケージに変更して売り出したり、ブラックを黒(クロ)と読み替えて「96円」「960円」など語呂合わせの値付けをしたり、黒い食べ物を集めたりと、さまざまなブラックフライデー商品が展開されています。
アメリカのような在庫一掃セールというより、楽しいイベントにしようという方向性が見えて、おもしろいですね。
ブラックフライデーセールの賢い利用法
ブラックフライデーは楽しくお得なお買い物イベントではありますが、思いのままに買い物をしていたのでは、お財布がもちません。
家電、冬物衣料、キッチン用品など“買い替えたいものリスト”を事前に作っておくと安心です。
生活必需品のまとめ買いも意外とお得。
必ず使う日用品・食品・美容用品などが大幅値引きされることもあります。
消費期限や保管スペースを考えながら計画を立てて、賢く活用しましょう。
感謝祭の翌日からセールが始まるアメリカとは異なり、日本のブラックフライデーセールのスタートは店舗によってまちまちです。
買いたい商品を扱っているお店のスケジュールをチェックして、比較しながら買い物をすると無駄を防ぐことができます。
日本におけるブラックフライデーは、認知度は非常に高いものの、利用率はまだ半数未満という“発展途上のイベント”といえます。
しかし、小売店の参加は年々増え、セール期間の長期化も進んでいます。
これからも、日本の生活スタイルに合わせて、独自の形で広がっていきそうです。
今年はあなたにとっての“ちょうどいいブラックフライデー”を楽しんでみてはいかがでしょうか。
