クリスマスケーキ

12月になると、街に並ぶケーキの予約ポスターを見るだけでわくわくする人も多いのではないでしょうか。

日本ではすっかり「クリスマス=ケーキ」が定番ですが、実はクリスマスに食べられるお菓子は国によってまったく異なります。

クリスマスケーキ……ではない?

キリスト教文化が根付く国々では、クリスマスに特別なお菓子を食べる習慣がありますが、その多くは日本人が思い浮かべる「生クリームたっぷりのケーキ」とはかなり異なります。

むしろ、長く保存でき、家族で少しずつ分け合いながら味わう菓子が主流です。

イギリスのクリスマスプディング(プラムプディング)は、ドライフルーツやスパイスをたっぷり使った蒸し菓子で、数週間から数か月前に仕込んで熟成させます。

市販品も増えていますが、もともとは家庭によって作り方の流儀があり、日本のお雑煮のように千差万別なのだそうです。

ドイツのシュトーレンも同様で、時間をかけて仕込まれるお菓子です。

アドベント(待降節)の間に薄く切り分け、少しずつ食べ進めます。

日が経つにつれて味がなじむため、「待つ時間」そのものがクリスマスの一部になっています。

イタリアのパネトーネは、ふんわりとした発酵菓子パンですが、こちらも家族や親戚が集まる場で切り分けて楽しむもの。

保存性が高く、何日もかけて食べることを前提としたお菓子です。

南半球のオーストラリアやニュージーランドでは、夏のクリスマスに合わせてパブロバが親しまれています。

これはメレンゲとフルーツを使った軽いデザートで、気候に合わせたクリスマス菓子の一例といえるでしょう。

こうした世界のクリスマス菓子は宗教的な背景を持ち、「特別な日を迎えるまでの時間」や「分け合うこと」を大切にしています。

一方、日本のクリスマスケーキは、キリスト教とは切り離され、当日に食べ切る軽やかで華やかな存在へと独自の発展を遂げました。

日本のクリスマスケーキ

日本にクリスマスケーキが登場したのは明治時代。

洋菓子店・不二家が1910年に横浜で「クリスマスケーキ」を売り出した記録が残っています。

当時はヨーロッパ風のフルーツケーキに近いもので、現在のようないちごのショートケーキではありませんでした。

その後、1930年代には洋菓子のレシピが婦人雑誌に掲載されるなど、クリスマス向けのケーキの存在が徐々に一般家庭にも知られるようになります。

ただし、誰もが気軽にケーキを作ったり買ったりできるようになったのは、やはり戦後のことでした。

高度経済成長期を迎えると、砂糖や乳製品、そして冬にも手に入りやすくなったいちごを使った贅沢なケーキが普及し、現在の「生クリーム+いちご」というスタイルが一気に定着します。

白と赤の組み合わせがクリスマスの象徴として視覚的に分かりやすかったことも、人気が広まった理由といわれています。

世界でも珍しいタイプの日本のクリスマスケーキは、こうした時代背景と食文化の発展が合わさって生まれたと考えられています。

クリスマスケーキのトレンド

近年は、生活スタイルの変化とともに、クリスマスケーキの楽しみ方にも広がりが出ています。

いちごのショートケーキは根強い人気を誇りますが、洋菓子専門店には見た目も味も工夫を凝らした多種多様なケーキが並んでいます。

少子化や単身家庭の増加に伴い、小さめのサイズやおひとりさま向けのケーキも増えていますし、さまざまな種類を少しずつ味わいたいというニーズもあります。

購入場所も、ケーキ屋さんだけでなく、スーパーやコンビニ、デパートやホテルと選択肢が増えました。

冷凍技術の向上によって、遠方からでも高品質のケーキをお取り寄せできるようになったのも大きな変化です。

価格帯は全体的に上がっていますが、「クリスマスだから少し贅沢してもいい」という気持ちからか、特別なケーキを選ぶ人が多いようです。

家庭で楽しむ手作りケーキ

一方で、家で手作りするクリスマスケーキも人気があります。

とくに小さなお子さんがいる家庭では、「上手に作る」ことよりも、「一緒に作る時間」を味わえるのが魅力ですね。

市販のスポンジ台やロールケーキを使えば、準備も簡単です。

ホイップクリームを好きなだけ塗ったり、いちごを山盛りに飾ったり、チョコ菓子で自由にデコレーションしたり……。

多少クリームがはみ出しても、フルーツが偏っても、それも含めて可愛らしく、家族だけの思い出に残る一台になるでしょう。

選ぶ楽しみ、食べる楽しみ、作る楽しみ——いろいろなかたちでケーキを味わえるのも、日本のクリスマスならでは。

さて、今年はどんなクリスマスケーキを召し上がりますか?

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