夏休みにはお化け屋敷に行ったり、キャンプで怪談話をしたり、肝試しをしたり。
そんな夏の思い出を持っている方も多いのではないでしょうか。
怪談や怖いイベントは、夏の風物詩となっています。
なぜ、怪談は夏?
怖い話は季節を問わずありますが、どうして、怪談は夏のイメージなのでしょうか。
夏に怪談が好まれるようになった理由には諸説ありますが、その一つが「お盆の風習」が関係しているというものです。
お盆は、先祖や亡くなった人の霊魂を迎える行事です。
懐かしい家族や先祖だけではありません。
人に害をなす霊や、恨みを残して亡くなった人の霊など、恐ろしい存在もこの世に戻ってくると考えられていました。
そのため、日本各地では、お盆の時期に霊を慰めたり、鎮めたりするための芸能や行事が行われてきました。
こうした風習の流れもあり、江戸時代になると、歌舞伎の夏興業でも怪談を題材にした演目が人気を集めるようになります。
冷房のない時代ですが、「涼み芝居」と呼ばれていたそうです。
怪談の「旬」
幽霊や怪物が登場する怖い話は、日本だけのものではありません。
世界各地に、それぞれの文化や伝承に基づいた怪談があります。
ただし、怪談が盛んになる季節は、夏とは限りません。
アメリカでは、ハロウィンの時期がホラーの「旬」です。
10月31日のハロウィンには、仮装した人々が街を歩き、幽霊やモンスターなどを題材にした飾り付けも多く見られます。
ホラー映画や怪奇作品も、この時期に注目を集めます。
一方、イギリスでは、怪談はどちらかというと冬のイメージなのだそうです。
イギリスは日本よりも緯度が高く、冬は夜が長くなります。
昔は、寒くて長い冬の夜に人々が暖炉を囲んで、さまざまな話をして過ごすことがありました。
そんな中で、怖い話や幽霊の話も語られていたのでしょう。
また、19世紀に文豪チャールズ・ディケンズが発表した『クリスマス・キャロル』にも幽霊が登場し、幽霊=暗く陰鬱な季節のもの、というイメージが定着したともいわれています。
なぜ人は怪談を好むのか
古代から、人々は怖い話を語り継いできました。
なぜ私たちは怖い話が好きなのでしょうか。
怖い話を聞くと、不安になったり、緊張したりします。
ところが、話を聞き終わったときには、「怖かった」と言いながらも、どこかすっきりした気分になることがあります。
そこには、恐怖を感じたときの体の反応が関係しています。
恐怖を感じると、体は危険に備えるために緊張します。
胸がドキドキしたり、汗をかいたり、注意力が高まったりしますよね。
しかし、怪談を聞いたとしても、実際に身の危険が迫ってくるわけではありません。
「怖い。でも、ここは安全だ」と分かっているからこそ、恐怖を感じた後に安心感を得ることができます。
この「恐怖」と「安心」の落差が、刺激や快感につながると考えられています。
ジェットコースターやホラー映画が好きな人がいるのも、似た理由かもしれません。
本当に危険な目に遭うのは困りますが、安全な場所で恐怖を疑似体験できる。
そんな非日常の刺激を楽しむのが、怪談の面白さの一つなのでしょう。
怪談を聞くと本当に涼しくなる?
怖い話を聞いたり、お化け屋敷で突然驚かされたりすると、「ぞくっ」とした寒気を感じることがあります。
冷や汗をかいたり、鳥肌が立ったりすることもあります。
恐怖を感じると、体は緊急事態に備える反応を起こします。
その際に、アドレナリンなどのホルモンが関わり、血管の収縮などによって皮膚表面の温度が下がることがあります。
また、汗をかくと、その汗が蒸発する際に気化熱が奪われます。
これによって、涼しさやひんやりした感覚を覚えることもあります。
もちろん、怪談を聞いたからといって、体温が大きく下がるわけではありません。
それでも「怖い話で涼しくなる」という感覚には、意外なことに科学的に説明できる部分もあるようです。
暑い夏の夜には、怪談の本を読んでみたり、ホラー映画を見てみたりするのも一興かもしれません。

